カノン
『まぁ、大体まず こいつは、人を傷付けるような奴じゃないんだけど…
でも仮に傷付けられた と しても、俺は助けるよ』
『…!!』
『世界中の人が敵に なったって、俺だけは ずっと、味方。
傷付けられたから助けない、傷付けられなかったから助ける なんて問題じゃなくて、
こいつが こいつで在る限り…
もう俺の顔なんて2度と見たくない って言われない限り…、
何度でも、助ける』
『……何で、
何で そんな……。
…そ、そうだリアちゃんは…
リアちゃんは そんな事、望んでないよ!
さっきだって、
"助けて"って、他の男子の名前 いっぱい叫んでた!
リアちゃんはXXくんに助けて欲しい なんて、
全然 思ってないんだよ!』
思い出したように付け加えられた 最後の言葉…"俺に助けて欲しい と思ってる訳じゃない"ってのは、
確かに真実だったかも…、しれない。
…でも、"助けを呼んでた"なんて、自分が苛めてました って証拠、
堂々と大声で言い出すとは…。笑
多分 そう言えば、"お前 俺の他にも そういう奴いっぱい居んのかよ"って、
俺が君に幻滅すると思ったんだろうけど…。
…残念。
君は、俺は勿論 他の男共にも、気を許してる女友達にも、
親にすらSOSを出せない って事を、俺は ちゃんと知ってる。
君はこの世の中の誰にも、"助けて"なんて言えない。
『…ぷっ
こいつが他の男子の名前、いっぱい叫び出す訳ないじゃん 笑』
『…!?』
『そんな事で、俺が こいつに激怒すると思った?笑
悪いけど、
どんなに こいつを悪者にしよう と したって、俺には無駄だから。
つか その前に…、
どう見ても、悪者は あんたら だし。
……ほら リア、行こう』
これ以上は時間の無駄だと思い、女子共を睨み付けてから君を振り返ると、
君は驚いたのか、大きな目を更に見開いて俺を見つめた。
『口に出せなくても、
お前 心ん中で"助けて"って いっぱい叫ぶからさ…笑
…知らなかった?
俺にだけは、聞こえんの』
『……っ…!』