カノン
『リア…!!』
君は走って走って…、
誰にも見つからないような場所で1人、蹲って泣いてた。
でも俺が近付くと ぱっ と 立ち上がって、
誤魔化すように、慌てて手で顔を ごしごし と 擦った。
『……行こう』
君が さっきの あいつらが言ってた…人を利用するような人間じゃない って、ちゃんと分かってる。
利用するつもりなら、もっと被害者ぶって誰でも良いから縋ってる…よな 笑
でも それが出来なくて俺からも隠れて、誰も居ない所で1人で泣く君は…
"利用"なんて言葉とは、無縁だ。
『りぃ ほら…』
君は迷うような表情をして俺を見ていたけど、
暫くすると、こくん と 小さく頷いた。
とことこ と 付いて来る君の気配を感じながら、連れ立って歩く。
道中 改めて"あんな奴等の言う事、気に しなくて いいから"って前を向いたまま言ったら、
沈黙してた君は、小さな声で やっと、"りぃの事 重荷じゃないの?"と言った。
"重荷? 何で??"
思わず後ろを振り返って本気で そう聞き返したら、君は また驚いたように目を見開いた。
"だって…、
いっつも助けに来てくれるから……"
"…面倒 臭くないの?
りぃだったら…、『こんな奴 面倒臭い』って思うから…笑"
君は そんな事を言って…泣きそうな顔で、笑った。
『……そんな風に思ってるとか…
やっぱ お前、馬鹿だわ 笑』
小さく呟いた…呆れたような俺の声は、
風に紛れて、君には聴こえないみたい だった。