カノン
「あ~ぁ、姫ちゃん…
具合 悪いのに、あんなに走ってっちゃって大丈夫かなぁ?」
「……」
「…って言うか姫ちゃん、
きっと、気 遣って行っちゃったんだよね?
どうしようマナ、悪い事しちゃった…」
「……」
続けて しゅん とした様子で そう言う彼女に、
普通は"そんな事ないよ~"とか言って、慰めるのだろうか…?
「……」
「……ヒカリくんも…、
姫ちゃんの事、心配してくれてるんだね」
普通の対応が出来ずに黙り込んだ俺の目を見て、
突然 空気を変えるように、彼女…マナミちゃんが、言った。
「…え?
あ、あぁ…」
「ヒカリくんって、めっちゃ優しいんだねぇ!
ヒカリくんが追い掛けてくれたら、
姫ちゃんも喜ぶかも~♪
…あ、
でも やっぱ姫ちゃんは、祐貴さんの方が嬉しいの…かな?」
遠慮気味に付け加えた、
彼女の その言葉に、嫌な予感がした。
「……は?
何それ…、どういう意味…?」