カノン
「どういう意味って…
もしかしてヒカリくん…、知らなかった?
ごめんねっ、
祐貴さんの友達だから、てっきり知ってるかと思ってた!」
"ごめん"と もう1度 顔の前で手を合わせて、彼女は続ける。
「実は姫ちゃん、すっごいルアン ファンで…
マナの職場の先輩が、祐貴さんと友達だって知ったら、
"会いたい"って、大騒ぎだったの…笑
今日も、
姫ちゃんに"どうしても"って、頼まれちゃって…。
ファンにプライベートで会うって、
祐貴さんには迷惑なんじゃ ないかなぁ ってマナは思ったんだけど…
姫ちゃんの お願いも、断れなくって」
「……」
「…だから姫ちゃん、
祐貴さんが追い掛けたら、喜ぶんじゃ ないかなぁ って…。
もちろん、
姫ちゃんはヒカリくんの事も好きだと思うよ?
でもマナは、
ルアンを熱狂的に追っ掛けてた時の姫ちゃんを知ってるから(笑)、
やっぱ祐貴さんの方が、もしかしたら嬉しいのかなぁ って…」
…こういう、
自分の事も、相手の事も、悪く思わせないような言い方をする子は、
もし嘘を吐いている と したら、
明らかに相手を貶めよう として悪口を言う子より、性質が悪いと…思う。
こういう子と君だったら、
君の方を、信じる。
だけど…
それは"もし嘘を吐いている と したら"の話で、
この子が喋っている事が嘘だという確証は、…どこにも ない。