カノン
何より彼女は君の従姉妹で…、
確証 云々の前に、
まず、彼女が従姉妹の君に嘘を吐く理由が…ないだろう。
だと したら…、
彼女が言う、君が熱狂的にルアンを追い掛けてたファンだって いうのも、
祐貴が追い掛けたら、君が喜ぶって いうのも……。
「……だから ここは祐貴さんに行って貰って…
マナ達は安心して、2人の帰りを待ってればいい と 思いますw」
気付いたら、
何を どうすれば そうなるのか分からないけど、
そう結論を出して、マナミちゃんは笑った。
それから戸惑う俺を よそに、
"祐貴さーん"と手を上げて、向こうに居た祐貴を、呼び寄せる。
「…何?
どしたの?」
そして近付いて来た祐貴に、可愛らしく微笑んでみせて…
そのまま祐貴の耳元に口を寄せると、
何事か耳打ちした。
「………なんでぇ~、
祐貴さん、ちょっと様子 見て来てくれません??」
「…そっか、分かった」
……祐貴の耳元から顔を離した彼女は次に そう言って、
彼女に"様子を見て来てくれ"と頼まれた祐貴は、何の抵抗も なく、すんなり そう答えた。
……って何で、祐貴は何の疑問も持たない訳……?
彼女が その前に何と耳打ち したのか分からないから、何とも言えないけど…
それにしても、この展開は……。
そういや、1番 最初に君が店から飛び出してった時も祐貴が追い掛けてったけど、
あん時もアイツ、率先して出て行かなかった?
それに…
彼女が そのまま祐貴に、君のホテルの場所を教えて追い掛けさせよう と しているように見えて、
思わず、口を挟んでいた。