カノン
「祐貴!
…俺 行くから」
「え!?」
「…いいから!
ホテルの場所、何処?
…あ、やっぱ いいや」
「え、何 何?
どういう事??」
「…多分、迷ってる。
迷ったら…とりあえず駅に行こう とする筈だから、
ホテルの場所は、聞かなくても いいや。
直接 会って、訊く」
「ひーちゃん…」
自分に納得させるように そう言った俺に、
祐貴は"訳が分からない"と言わんばかりに、肩を窄めた。
本当は、駅の近くに行ったから といって、君に会える確証なんて無いんだけど、
とにかく祐貴を1人で行かせる事が不安で、そのまま俺は店を飛び出した。
祐貴が追い掛けたら、君が喜ぶ なんて…
そんな事、考えたくなかった。