カノン
―…
「ヒカリさんは ずーっと、
その子の事が、心配なんですね」
「え…?」
考え事を していた頭に、急にマネージャーの声が入り込む。
すぐには思考が働かなくて、何も反応 出来ずに居ると、
呆れたように、溜め息を吐かれた。
「『え…?』って……、
…聞いて なかったんですか?笑
感想 聞きたい って言ったの、ヒカリさん なのに 笑」
「あ、あぁ…そっか。
…思い出した、思い出した 笑
あっ で…その、
『その子の事が、心配なんですね』ってのが…感想か 笑
…あれ、でもさぁ…、
どっから そんな感想 出て来たの?
歌詞には そんな事、一言も書いてなかった と 思うけど…」
そう言うと、マネージャーは にやっと、
少し得意そうな顔を…した。
「これは私が勝手に思ってる事ですけど…
ヒカリさんの恋愛系の歌詞に出て来る"君"って呼ばれてる女の子って、
みんな同じ人な気が…するんです」
「…!?」
「勿論シチュエーションとかは ちゃんと それぞれ違ってるんですけど、
実は、全部 同じ…1人の人の事を書いてるんじゃ ないかな?って…」
「…!」
……"図星"って事を悟られたくなくて、
無理矢理ポーカーフェイスを気取る。
マネージャーは、それさえも分かっているように、
楽しそうな顔で、続けた。