カノン
『もしもし、ひーちゃん?
今日、来られそう?』
…次に耳に入って来たのは、
電話から聴こえる…テンション高めの祐貴の、声。
つか、そう訊くって事は、
無理に行かなくても いいんかな…?
「え、何?
行かなくても良いんだったら、行かないけど」
思わず本音を言ったら、
祐貴は いつもの調子で、笑った。
『違うよ~ 笑
ひーちゃん には、来て欲しいの!
だけど、さっきルイさんのTwitter見てたら、
"曲作り忙しい"みたいな事 呟いてたからさ~。
ライブも控えてるし、
実は ひーちゃんも、相当 忙しいのに無理して"来る"って
言ってくれたんかな と 思って…』
「…まぁ
ぶっちゃけ、忙しいっちゃ、忙しいよ 笑
でも、
別に撮影とか入ってる訳じゃないから。
それに…
他でも ない、ユーキくんの頼み だからね~…」
少し嫌味を込めて、恩着せがましく言ったつもり なのに、
受話器からは、なぜか弾んだ声が…聴こえて来た。
『さぁんきゅ、マジ助かるわ~!笑
俺、これから事務所 出て向かうとこ だけど、
ひーちゃん、今 何処?
ひーちゃん1人じゃ、迷いそうで心配だから、
迎え行くよ』