カノン
「姫ちゃんも…、
ホントは全然 大丈夫じゃないんでしょー?
ホテル入ったら、すぐ休まなきゃ駄目だよ?」
マナちゃんが ここぞ と ばかりに、あたしの心配を し始めた。
「う、うん…分かった。
マナちゃん達はホント気に しないで、
ゆっくり して来てね!」
「…そっか。
分かった、お大事にね。
またメールする♡」
マナちゃんが満面の笑みで、あたしの肩に手を置いた。
…それが、″早く帰れ″って合図だと思った あたしは…、
マナちゃんと…、
景さんに、笑顔を向けて言った。
「ま、またね!
…あ、
今日は、本当に ありがとうございました!!
ではっ」
その場から早く去りたくて、
挨拶も そこそこに、ホテルの方へ くるっ と 向きを転換した。
そして そのまま走り出そう と…、した。
…でも。
「…あ、
ねぇ、ちょっと待って」
低いテンションで そう言われる声が聞こえて…、
…あたしは反射的に、立ち止まっていた。