カノン
「……だから、
リアちゃんに、これ あげる」
あたしが まじまじ と 景さんの顔を見ていると、
景さんが笑って、鞄から何かを取り出した。
…四角い それには、
アーティスティックな写真と、難しい英語が書かれていた。
「これ…
アルバム…、ですか?」
「…そ。
何でアルバム持ち歩いてるの って、顔だね 笑
何でか、教えてあげよっか?」
「………はい」
「…リアちゃんに あげよう と、思って」
「え…?」
「…ごめん、嘘。笑
たまたま、だよ。
祐貴に久し振りに会うから、
新作あげよう と 思って、一応 入れて来てたの。
渡しても渡さなくても いっか と、思って」
一瞬、本当に あたしに渡す為に持って来てたのかな って、
恥ずかし気もなく思ってしまって、顔が熱くなる。
「祐貴には、どうしても欲しかったら自腹で買って貰うから…(笑)、
これはリアちゃんに、あげる。
ライブ来て貰う前の入門編みたいな感じだから、
良かったら、聴いてみて。
それで…、
今度のツアーではライブ、来てよ」
「…………」
…気付いたら、頷いてた。
それを見て、景さんは満足そうに笑って、
マナちゃんが戻って行った方へ、姿を消した。