カノン
04
SIVAさんのアルバムを聴いて、
…衝撃を受けた。
激しいヴィジュアル系の音楽は″うるさい″って、勝手にイメージを持ってしまっていた けれど、
SIVAさんの音楽は、確かに激しいのに
全然、うるさく聴こえなかった。
アルバムの最後にはピアノのSEも入っていて、
それも″うるさい″っていうイメージと かけ離れていたから、
ますます、衝撃を受けた。
それからネットで調べて、
SEは全部 景さんが作曲してる って事を、知った。
景さんの作るメロディーの美しさに、
感動を覚えた。
『どうして、出会ってしまったのか』
『なぜ此処に、君は居ない…?』
…景さんの恋愛の歌詞には、
どうしようもない後悔や疑問が、たくさん描かれていた。
アルバムの中で恋愛をテーマにした曲は、2・3曲だったけれど、
その どれもが、報われない恋を描いたものばかり、だった。
暗い・悲しい・切ない・残酷…、
それは、何も知らない時に抱いていた″怖そう″っていうイメージの
″SIVAの景さん″だったら書きそうな歌詞で、
実際に会った、″SIVAじゃない景さん″からは
想像も出来ないような、歌詞だった。
景さんは…
やっぱり、"作っている"みたい。
もっと景さん っていう人を、知りたくなった。
だけど…、
ライブに行く勇気までは、持てなかった。
…きっと景さんやSIVAさんには
あたしが行かなくても、たくさんの熱烈なファンが付いている筈で。
″あたし で ある必要″は、何処にも なかったから。
あたしは暫く、
アルバムの中に入っていたライブ日程が書かれたチラシを眺めて…、
それをゴミ箱に、捨てた。