カノン




「………ヒカリさん」




「えっ!?」






「ほら、クラウドさんの事務所の先輩の…


SIVAさんのヴォーカルって、

ヒカリさん…だった よね?」




「う、うん…

そうだけど…?」






「今日、

この会場に、ヒカリさんが来てたんだって!


…さっき、話してるの聴こえちゃった!!」




気付いたら、

聖良ちゃんが、目を輝かせていた。






「そ、そう なんだ…」




動揺がバレないように、ドキドキしながら そう言うと、

聖良ちゃんは そのまま楽しそうに、続けた。






「大体アーティストの人って、ライブ始まってから来るらしいんだ けど、

ヒカリさん、かなり早い段階から来てたんだって~!


せっかく だから、あたしも見てみたかったなぁ…w」




「そ、そうだね…」






「…あ!


もしかしてリアちゃん、

SIVAさんに興味あるの?」




聖良ちゃんが目を輝かせたままで、言った。






「う、うん

興味って言うか…。


アルバム聴いてて…、

″曲は知ってる″って程度だけど…笑」




…少しだけ、嘘を吐いた。


でも聖良ちゃんは そんな事に気付く筈もなく、

笑って続けた。






「…そうなんだぁ~。


あたしも ちょっと、聴いてみたいかもw


良かったら、今度 音源 貸して~♪」




「うん、いいよ~」




あたしは、苦笑しつつ答えた。


あたしに言われたくないかも だけれど、

聖良ちゃんも結構ミーハーだから…、


曲 聴いて″SIVAさんのライブにも行く″って言い出したら どうしよう…

…って、ちょっと不安に なった。




あたしが何も知らなかったクラウドさんのFCライブに誘ってくれた位だから、

元々 曲を知ってるSIVAさんのライブだったら、

当然 聖良ちゃんが誘ってくれる確率は、高くなる。


″誰かと一緒にライブに行きたい″って思って、

それで あたしを誘ってくれるのは嬉しいのだけれど…、


ステージでもプライベートでも、

景さんを、見たくは…なかった。





< 49 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop