カノン
「…ありがとう」
家まで送って貰って、
車を降りた所で運転席に座る聖良ちゃんに、手を振った。
「ううん!
…またねっ!
また一緒に、ライブも行こうね~」
密かにライブの事 忘れててくれれば いいなぁ って思ってたけれど…、
聖良ちゃんは最後の最後で、思わず気の重くなるような言葉を、残した。
「…う、うん。
また機会が あったら、よろしくね~」
″やだ″とも言えず、
あたしはドアを閉める直前、苦笑を漏らしながら、そう返した。
それを聞いて聖良ちゃんは嬉しそうに笑って…、
そのままバタン、とドアが閉まるのと同時に、車は発進した。