カノン
何度 考えても、″このまま景さんに会えなくなっても いい″とは思えなくて、
あたしは意を決して、景さんに…手紙を書く事にした。
ぶっつけ本番の電話は……
勇気が なくて。
すごく時間を掛けて、
何度も書いたり消したりして…仕上げた。
―景さんに会って、自分が素直に感じた事。
―景さんとの性格の一致や、似ている所。
―それが″運命″なんじゃないか って、思ってしまった事。
…全部、書いて。
でも…、
最後の差出人の名前は、書けなかった。
……景さんに、
″痛い″って思われる事が、怖かったの。