カノン




書くだけ書いて、

あたしは またSIVAさんの いちファンに、戻った。


ライブに行く事も ないし、もうファンレターを書く事もない、

ただの、音源ファンに。


けれど景さんの番号だけは…どうしても消せなかった。






「………今日こそ、消そうかな…」




何度も、携帯の画面を見つめて、呟く。


でも何度も、消せないうちに″明日″に なっていて…、

次の日も また同じ台詞を、繰り返す。






「あぁ~、もう嫌だ!!」




ぎゅー って目を瞑って、自分の顔を ぽかぽか殴って、

あたしは少し乱暴に、携帯をベッドの上に投げ置いた。


ついでに自分もベッドの上にダイブして、

じたばた、ごろごろ、たまに携帯を ちらっ と 見て…、

また、じたばた ごろごろ…、意味の無い時間を過ごした。




それから暫くして、何度目かに携帯に目を遣った時、

サイレント設定の携帯が光って、メールの着信を知らせていたから、

あたしは何気なく、メールを開いてみた。






「……………」





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