カノン
「…引いた?」
黙り続けてる あたしに、景さんが困ったように笑って、言った。
「いえ!
そんな事、…ないです。
でも……」
「…でも?」
…景さんの話は夢みたいで、何だか現実味が なかった。
それに展開が早過ぎて、ついて いけない。
勿論 景さんが嘘を吐いている とは思わなかったけれど…、
でも何の変哲も無い、ただのファンの中の1人に起こってる出来事とは、とても思えなくて、
あたしは まだ、この″現実″を、疑っていた。