カノン




「………景さんが嘘を吐いてる とは、

…思いません。




でも…、

あたしには やっぱり この″現実″が……」




″信じられません″




…そう、続けよう とした…のだけれど。




声は、遮られた。


…どこか悲しそうな、景さんの声で。






「俺は ずっと…、信じてた。


リアちゃんも信じてくれる って、

…思ってた」




「……………」






″信じられません″は口に出せなかったのに…

景さんは、

あたしが次に言おう とした台詞をも、分かっているみたい だった。






―……なん、で……?


どうして…?―




…どうして、分かってくれるんだろう…?




黙り込んだ あたしに、

景さんは更に言葉を投げ掛ける。






「…いや、違うな 笑




″思ってた″じゃなくて、

…″思ってる″。


リアちゃんが信じてくれるんじゃ ないか って いうのを、

ずっと…信じてる」




「…景さん……」





< 76 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop