カノン
…ちょっと冷静に なって、頭の中を整理してみよう…。
景さんが今 自宅に居るって事は、まず間違いないだろう。
もしかしたら最初に あたしが電話した時から自宅に居たのかもしれない けれど…
…でも とにかく今、その自宅に″紹介したい人が来ている″…、と。
そこまでは、理解できる。
…でも、
何で、その人を あたしに紹介しなきゃ ならないんでしょうか…?
その辺が、どうも解せません。
それに……、
あたしが持っている情報から推理すると、今 景さん宅に いらっしゃるのは、完全に彼女さんだと思うのですが…
これから彼女を紹介される って分かってて、景さんの お家に行きたくなんて、ありません。
「…………」
「リアちゃん……??」
黙り込んだ あたしに、また心配そうな声音で、景さんが言った。
もし、今あたしが思っている事を そのまま言ったら、
きっと、景さんは困る…でしょう。
でも、この状況で″大丈夫ですよ″って言ったと しても、嘘っぽくなるだけな気がして、
あたしは思い切って、口を開いた。