カノン




「私の事をサナって呼ぶのは…、

今 世の中で、2人だけ…なんです 笑


そのうち1人は、景で……

もう1人は…、うちの、ベース。




……最初はね、ベースが ずっと、

″サナ″って、呼んでたんです。


いつ頃から だったかは、忘れちゃったけど…。




景は そのベースと、

SIVAの前からバンドを組んでて、かなり仲が良かったから…、


…それで

彼に釣られて、いつの間にか景まで″サナ″って呼び始めちゃったんです。


フルネームの自己紹介は昔した筈だけど、

ベースが ずっと″サナ″って呼んでた所為で、景は今や もう、

私の本名なんて、覚えてない と 思います」




「………」






「だから景が女の子の、しかもフルネームを覚えてる なんて、

本当に珍しい事…なんですよ」




「……え…?」








「……あの日…、


景がリアちゃんに初めて会った日、

私に その事、話してくれたんです。


その時、ちゃんとリアちゃんのフルネーム覚えてて…

なおかつ″姫ちゃん″って呼ばれてる っていう事も、覚えてました」




「………」






「自己紹介だから多分、1回ずつしか、しないですよね?


でも景は…

その1回で、リアちゃんの事…覚えてたんです。


…今までの景だったら、有り得ないですよ!笑




だから…


……景の中でリアちゃんは…、

″特別″なんです。


私には…すぐ、分かりました」




「…………」





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