花に、嵐
「朔ちゃん!」

振り向くとコンシェルジュのすぐそばに朔ちゃんは立っていた。

コンシェルジュとなにか言葉を交わしたあと、こっちに向かって歩いてくる。

「───待たせましたか。時間通りだと思ったのですが」

腕時計を確認する朔ちゃんに慌てて

「あ、大丈夫だよ!私がちょっと早めに着いちゃっただけだから!」

「ああ、そうですか。───相変わらずせっかちですね、花菜は」

「あ、あははは、ごめんね~」

私がせっかちになるのは朔ちゃん限定なんだけどね。


それでも、朔ちゃんを待ってる時間はけっこう好きだったりする。

待つ時間が愛を育てるってなにかで読んだ気がするし。

早く会いたい気持ちと、でも会ってしまったら今度は帰る時間が気になって寂しくなる。


オンナゴコロはなかなか複雑だよね。






< 36 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop