花に、嵐
もしも朔ちゃんに彼女がいるなら………。

若干落ち込み気味にそう訊ねれば

「恋人?──いませんよ。いるわけないでしょう。僕は、興味ありません、花にしか」

そんなことは知っているでしょうとでも言いたげな、呆れた視線を向けられてしまった。

花にしか興味がないとか。朔ちゃんらしいっちゃらしいけど。

「………、そ、そっか」

嬉しいような嬉しくないような、とっても複雑な気分になりつつ。

でも、やっぱりこんなとこでは落ち着いて話せないのは事実だから、どうにかしてお部屋にあげてもらわなきゃ!

恋人がいないならなんの問題はないしね!

などと、そんな無駄にも見える決意をしたところで、聞こえてきたのは……。

それは天の声か、はたまた地獄からの声か。

「兄貴!」

ここは天の声ってことにしておこうか。


「………旺司郎?」

旺司郎の登場で、図らずも私の目的は無事に達成されたわけなのだ。



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