花に、嵐
「──相談というのは、そのことですか?」

若干、声も低い気がする。まあ、普段から低めの素敵な声してるけどね?

「うん。なんかもうお見合いどころか、すぐにでも結婚させそうな勢いで……どうしたらいいかなぁって」

こういう言い方は本来の目的とはちょっと違うけど、外堀から埋めていかないと、朔ちゃんは簡単には落とせない。

「見合いしたくないって言えばすむ話じゃねーの?」

旺司郎は呑気に言うけど。

「私だってもちろんイヤだって言ったよ?
まだ学生だし。
でも、そんなに簡単な問題じゃない。うちの家柄のこととかを考えたら今回断ったとしてもすぐに次があるもん」

あのママの性格とか勢いを考えればあり得る。


実際、家柄なんてホントどうでもいいんだけど、結局は強く反論できずに今に至ってるわけで……。

「就活するくらいなら婚活しろってことなんだよね……」

ホント、冗談じゃない。


はあ、と深い溜め息が思わずこぼれた。



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