花に、嵐
それでもショックが大きすぎたのか、そのあとしばらくは朔ちゃん家に行くことができなかったくらいだ。


でも、朔ちゃんはママのお弟子さんだったから、全然会わないっていうわけにもいなかくて、そうすると、どうしたって諦めきれなくて。

結局、なんだかんだと理由つけては朔ちゃんの部屋に遊びに行ってた。


……あれ以来、朔ちゃんが彼女を部屋に連れてくることはなくなった。

それから数年。

中学に入学した春。

“……朔ちゃんのことが、好き”

12才の二度目の告白は

“───”

返事さえなくて、眉間に皺を寄せ、ただただ溜め息を吐かれただけで終わった。

“え、へへ”

私はやっぱり、傷ついているはずなのに、笑ってそれを誤魔化してた。



でも、ママのお弟子さんであることには変わりないから、週に何度かうちに来ていた朔ちゃんを、こっそり見ていた中学時代。


………私がまだ子どもだから。

だから、本気にしてもらえないんだ。

私がもっと大人になれば。


きっと、いつか────












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