花に、嵐
「っ!」

「おわっ!」

淡くもあり、苦くもある思い出にどっぷりと浸かっていたところに、突然響いた携帯の着信音。

「も、もしもし?」

驚いて慌ててたから相手も見ずに出てしまった。

『もしもし花菜?』

凛とした声が耳に届く。

「あ……」

……出るんじゃなかった。と後悔したけどもう遅い。

『花菜、いまどこ?』

「………」

『花菜?』

言いたくない。

なんて、言えるわけないけど。

『迎えに行くから一緒に帰ろう?』

ゆっくりと語りかけるような穏やかな優しい声。

きっとママから聞いたんだろうな。お見合いのこと。

「……ちゃんと家には帰るから。お迎えいらないよ」

朔ちゃんと旺司郎が誰からだって聞きたそうな表情でこっちを見ている。

『でも、花菜』

「大丈夫。朔ちゃんが送ってくれるから!」

そう言った途端、朔ちゃんの眉間に深い深い皺が寄ったけど、いまは無視!

『………朔、太郎さんと一緒なの?』

凛とした声が、ほんの一瞬、揺れた。























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