叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
第11話『……結構すき』
《冬樹side》
「ただいま……」
脱力感を抱えたまま俺は帰宅した。
仁の話を聞いて、頭も心も混乱している。
正直どうとらえていいのかわからなかった。
ただ、思ったことは……
仁も相沢も、俺には想像つかないぐらいの大荷物を背負っていたということ。
大切なひとが自殺未遂……
しかもその原因が自分たちにあるんだと、罪の意識がある彼らになんと返していいのかわからなかった。
かける言葉が見つからなかった。
でもひとつ言えることは、遠くいる優花ちゃんが、今のふたりを見てもきっと、嬉しいとは思わないだろうな。
仁の話を聞いていると、心の広い、優しい女の子だった優花ちゃんが、二人の不幸を喜んでいるとは思えない。
幸せを避けて生きるだなんて……
そんなのって……辛いだろ。