叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。



俺が見て来た相沢はけして幸せそうではなかった。


いつも誰とも一定の距離を保つように。


壁をつくって、ひとりでいて。


クラスメイトからわざと聞こえるように悪く言われていても、ひたすら耐えて、逃げることもせずにいた。


だけど、ヒドイことをクラスメートに言われてもなにも言わないのは話せないからだけじゃないと、俺は思うんだ。


ただただ、普通に。


それを受け止めているのは相沢なりに優花ちゃんを想ってのことなんじゃないのかな。


みんなの前では泣かない相沢。


体育の時もきっと泣くために外へ出てて、それを俺が邪魔してしまったんだ。


図書室の時も、俺が追いかけなければ独りで泣くつもりだったんだ。


優しい陽だまりのように笑う彼女の心の中には、いつも優しく花のように笑う優花ちゃんがいるんじゃないか?


声が出なくなったのだって、彼女が優花ちゃんに対してひどく後悔したからじゃないのだろうか?


俺にはそう思えるんだ。



< 135 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop