叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
と言っても優花ちゃんがどこにいるのか、ましてや彼女と面識のない俺にはどうすることもできないけれど、
「夏休み中にハメ外しすぎないように」
ありきたりな担任の言葉で一学期は締めくくられた。
「冬樹!帰ろうぜ!」
「うん」
太陽が一番高い時間に下校。
もう既にグラウンドにはちらほら学生と、グラウンドでする部活動生たちが集まっていた。
暑い中頑張ってるなーなんて思って校門を通りすぎようとしていた時。
いつもポケットに入っているスマホがないことに気がついた。
あれ……?ない……?
「わりぃ、仁!スマホ忘れたわ」
「取ってくる?」
「うん、先帰ってて」
来た道を引き返していると「連絡するわ〜」と気の抜けた声。
それに「おう」と答えて教室に急いだ。