叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
第1話『声を失った天使』
「まいったなぁ……」
やわらかい日差し。
ピンク色の桜の花びらたちが舞う。
なにからなにまでフワフワしているような気がする。
そんな、春。4月。
「くそぉー……」
俺は道に迷っていた。
けして方向音痴ではないし、確かにこの道で合っているはずなのに、目的地の学校がなかなか見えて来ない。
この前もらった学校の案内の不親切なわかりづらい地図に頭をひねる。
……でもよかった、まじで。
学校が明日からで。
この町に引っ越して3日が過ぎた。
通い出す前に通学路を確かめておこうと自転車を走らせていたんだが……。
学校はいったいどこなんだぁー!
心の叫びに大きいため息を吐いて、頭をかく。