叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
名残惜しいけれど、手を放す。
ぐっと寂しさが押し寄せた。
「じゃあな」
『うん……』
うなずいたけれど、なかなか歩き出さない相沢。
うつむいてて、目線を合わせてくれない。
「相沢、また学校が始まれば会えるから」
『うん……』
駄々をこねるような相沢の仕草に微笑ましくなる。
本当に。
困るぐらい、可愛いな……。
やれやれと、相沢の頭に手を伸ばして優しく触れる。
触れたところから、緊張感が来る。
けど、じんわりとそれも幸せに溶けていった。
「じゃあね」
『うん……』
今度こそうなずいた相沢は家の方に歩いて、中に入って行った。
……ちゃんと仲直りしろよ。
そう心の中でつぶやいて、俺は家路へと歩いた。