叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
第16話『影のある太陽』
長い夏休みはあっと言う間に終わりを告げた。
叔母さんが昨日の夜に綺麗にアイロンをかけてくれた真っ白なカッターシャツに袖を通す。
久しぶりに学校の制服を着た。
「行って来ます」
「行ってらっしゃい、冬樹くん」
「お兄ちゃん学校頑張ってね!」
「ありがとう。夏沙も幼稚園頑張れよ」
「うん!」
玄関先で夏沙の元気な返事を聞いて、二人から見送られながら家を出た。
いつもと変わらない通学路を歩く。
あの夏祭りの夜。
仁から優花ちゃんと会うことはできなかったと報告された。
……会えなかったこと、俺も相当ショックだった。