叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
第17話『教室で告白』
「あっ……」
トイレで用を足していると後ろから聞こえたその声に振り向くとそこには気まずそうに顔を歪ませた仁がいた。
こうして面と向かうのはなんだか久しぶりだ。
優花ちゃんが引っ越して来て一週間、彼女が常に俺の隣にいるようになってからは仁とも相沢とも距離ができた。
「なんか優花ちゃんに気に入られてるなお前」
「うん」
「そのまま優花ちゃんのこと守ってやってよ」
「イヤだ。それは仁の役目だろ」
はずしていたチャックをあげて、ベルトもしめる。
目の前にいる仁が仁じゃないみたい。
あの変に明るくて元気な能天気な仁はどこに行ったんだ?
「仁はそのままでいいわけ?」
「……っ……」
「俺はイヤだ。相沢とこのまま疎遠になるのなんて絶対イヤだ」
相沢と距離があるままなんてイヤだ。
これが優花ちゃんが狙ってやっていることだとしてもそうじゃないとしても。
……関係ない。
俺は相沢が好きなんだ。
相沢と話したい。一緒にいたい。
この気持ちは消えたりしない。