叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
「……だ……」
「「……だ?」」
仁と俺の言葉がかぶる。
それに優花ちゃんが恥ずかしそうにたじろぐ。
なんだか優花ちゃんを追い詰めているみたいで少し面白い。
「……大好きな……ひと……」
「え?」
「大好きな人って、言ったの」
小さな優花ちゃんの声。
うつむいていた視線をチラッと仁に一瞬だけ向けた。
恐る恐るといった感じで仁を見る彼女。
緊張してる二人を見て笑いそうになるのを必死にこらえた。
「そう、なの?」
「うん……今でも、そう思ってるよ」
まっすぐ仁を見ながら、優花ちゃんが言った言葉にドキドキしてしまう。
……今のって。
告白……だよね?
「優花ちゃんずるいよ。それは俺に言わせてよ」
嬉しそうに顔をくしゃくしゃにしている仁を見て心の底から幸せな気分になる。
……よかったな、仁。
ほんとに、苦しんでいたもんな。
相沢とあんな誓いまでして、遠回りして、迷って、すれ違いながら優花ちゃんを人一倍想って来たんだよな。
……これで心から笑えるな。
想いが通じた幸せそうな二人の笑顔を見ながら、俺も笑っていた。