叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
第3話『好きなひと』
辛いことがあった時、話せる人がいる。
楽しいことがあった時、話したい人がいる。
……すごい幸せなことだと思った。
「転校生くーん、おっはよぉ〜!」
「ぐは!……仁!?」
あくびをしながら寝ぼけ眼で歩いていると、後ろからいきなり仁が飛びついてきて転びそうになった。
……マジびっくりした。
「今日もイケメンですなぁ〜」
「は!?いきなり、なにっ!?」
「照れてますねぇ〜、かぁーわうぃ〜」
「…………」
「あ、今イラッとしたでしょ?あはは、怖い〜」
わかってるならさっさと離れろよ!
近いわ!
あはは〜と能天気に笑う仁を見ているとチカラが抜ける。
コイツは今まで出会ったことのない人種すぎて……調子を狂わされるというか。
でも、こいつの愛嬌のよさには完敗。
憎めない自分がいた。