叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。

第20話『0からのスタート』




「……話はわかった。俺もそれが一番いいと思う」


「私もそれでいい。……私のせいだよね……こうなったのは……」


「ううん。優花ちゃんは悪くない。……いや、誰も何も悪くないんだ。……過去は変えられない。だからこれからをみんなで変えていこう」


「……ありがとう冬樹くん」



仁と優花ちゃんを呼んで、相沢のお母さんと話し合った結果を伝えた。


優花ちゃんの自殺はなかったことにする。


だからもちろん相沢が失声症になっていたこと、それらが原因で学校の屋上から飛び降りたことは相沢には秘密。


下校中に事故にあって記憶を失くしたことにする。


学校には相沢のお母さんが連絡してくれるらしい。


そして相沢の自殺を知る全校生徒がこの秘密を共有することになる。


……ある種の賭けだ。


バレる可能性も十分にある。


相沢の飛び降り自殺の目撃者は多くて、ウワサもまたたく間に全校生徒が知る事実になっている。


だから、むしろその可能性の方が高いぐらいだ。


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