叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
第21話『手紙の中の君へ』
秋が訪れたのもつかの間。
制服も夏服から冬服に変わって、気がつけば俺が生まれた寒い冬がやって来ていた。12月。
……話をした日から相沢は前向きにリハビリに取り組んでくれている。
『ぜったいに歩けるようになってみせるからね』
それが相沢の口癖になっている。
俺は時間が合えばそのリハビリを見学したりしている。
痛みに顔を歪める相沢を見るのも、思うように足が動かずに悔し泣きする相沢を見るのも辛いけれど
頑張っている相沢から俺が目をそらすわけにはいかなかった。
そして時間が合わない時は彼女に学校であったことや仁のバカ話などを言って聞かせた。
……俺にできることはそれぐらいだから。
それでもリハビリは辛そうだけど前より笑顔が増えたような気がしている。
「……はぁ〜。寒いなぁ……」
手袋とマフラーをしていても冷たい風を感じる。
手をこすり合わせて息を吹きかけると少しだけ熱がこもるけど、それも一瞬で消えた。
木から葉がなくなり、落ち葉が風に吹かれるたびに冬らしい音がする。
空は乾いたように閑散としていた。