叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
「お兄ちゃん!!早く!!」
「わかってるって。あとちょっとだから」
桜の花も完全に散って梅雨に入ろうとしている今日この頃。
久しぶりに晴れた日曜日。
庭で洗濯物を干している俺を妹の夏沙(なつさ)がリビングから呼ぶ。
たくっ……。
ちょっとは待てって。
手伝いぐらい、休みの日なんだからやらなきゃ。
幼いからまだ分からないかもしれないけど、俺たちは“住まわしてもらってる身”なんだから。
「冬樹くん、お洗濯はいいから夏沙ちゃんの相手してあげて。残りは私がやっとくから」
「いや、最後までやりますよ」
「いいから、いいから」
奥から出て来た叔母さんが強引に俺の手から濡れたタオルを奪った。