叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
『うん』
言葉の代わりに何回もうなずく相沢に、夏沙はパアッと顔に花を咲かせる。
幼い夏沙の中の寂しさを目の当たりにした気がして、なんだか申し訳なくなった。
「お兄ちゃん!なつ、すべり台に行って来るね!」
「うん。気をつけてな」
「はーいっ」
元気に駆け出した妹を見てより一層切なくなる胸の内。
やっぱり、父さんと母さんがいないのは寂しいんだろうな。まだ小さいし。
だから唯一の家族である俺が離れて行かないか心配なんだろう。
さっき、相沢に威嚇している時、すっげー必死な顔してた。
「ごめんな、なんか……」
『ううん』
「いつの間にかワガママになっちゃってさ」