叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
突然、いなくなったから。
父さんも、母さんも。
甘えたいのに、褒めてほしいのに
その存在がいないのはすごい寂しいよな。
俺も、寂しいし……。
病気だった父さんは夏沙が産まれてすぐ死んだ。そして母さんはなんの前ぶれもなく俺たちの目の前で命を落とした。
3月の終わり。1ヶ月前。
ーー居眠り運転だった。
突然先を歩く母さんの体を突き飛ばした車はそのまま店に突っ込んで行って。
大きなニュースにもなった。
俺と夏沙の目の前で亡くなったんだ。
あまりに衝撃的な光景にしばらくは涙さえ出なかった。
『か…母さん…?』
呆然と立ち尽くしていた。
だんだん増えていく人と、何台ものパトカーと救急車。
……いつも泣くのは夏沙。
俺はただただ大泣きする夏沙の頭を撫でてやることしかできない。
「……っ……」
思い出したらジワッと涙が滲んだ。
だから、身寄りがなくなった俺たちは母さんの妹である叔母さんに引き取ってもらったんだ。