叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
怖かったんだろうな。怒鳴られて。
そうだ。
確か、ポケットに……。
「アメいる?」
『……?』
5才の妹にもらった苺のアメ。
食べずにポケットに入れてたんだけど。
どうせ食べずに中でドロドロになるパターンだろうから。アメも、彼女にもらってもらった方が嬉しいはず。
「はい、どうぞ」
差し出したアメを受け取った彼女は笑顔を見せて『あ、り、が、と、う』そう言った。……口パクで。
……あ。
ーーしゃべれないんだ、この子。
そう、思った。