叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。


平気な顔をして、隣にいる相沢に俺ばかりがドキドキしていた。



「ーー…そしてシンデレラは幸せに暮らしました」



最後まで読み終わると相沢が俺の制服のすそを引っ張って『ありがとう』と、言った。


喜んでくれたのがその表情だけでわかった。


照れくさかったけど、相沢が喜んでくれたなら、読んでよかった。



「シンデレラが好きなのか?」


『うん』


「そっか。なんで?」



なんとなくだった。


なんとなく聞いただけだったのに、相沢は悲しみを含んだ表情を浮かべて立ち上がると黒板に文字を書いた。



『シンデレラに似てるひとを知ってる』



シンデレラに似てるひと…?


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