叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
第7話『欠片でもいいから』
梅雨が終わったらあっと言う間に蒸し暑くなった。
冬服から、夏服に変わって、高校二年生の夏が幕を開けた。
「……あちぃ〜な。冬樹、なんでうちの学校には冷房がないんだ?」
「俺が知るわけねぇーだろ」
「相変わらず冬樹は冷たい……」
「うるせっ」
前の席に座る仁が机にうなだれるようにへばっていて、見ていて面白い。
暑さに弱い仁。
これで少しは静かになるかと思いきや、そうでもなかった。
「ふゆきー!だいすきだー!」
「なっ……やめろよ!暑いって思うなら抱きつくな!離れろ!!」
ほとほとコイツには疲れさせられる。
……こいつを黙らせる方法を誰か知らないか?