叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
俺にできることはないのかな。
俺がその問題を解決してあげたいんだ。
こんなこと、迷惑、かな。
相沢はどうすれば、幸せになれる?
知りたいのに、
なにかしてあげたいのに、
何も見えなくて、もどかしい。
ーーーー…
ーーーーーー…
「ふふん〜ふふん〜♩」
「夏沙、待てって」
鼻唄を奏でながら俺の手を強く引っ張って歩くのは夏沙。
学校から帰って来て早々「お兄ちゃん、本屋さんに連れてって」と夏沙にせがまれた。
何事かと思いきや、叔母さんが夏沙に「絵本でも買ってきなさい」とお小遣いをくれたらしい。
返そうとしたんだけど「いいの、いいの」って叔母さんは受け取ってはくれなかった。
……ほんと、申し訳ない。
「本屋さんまであとどれくらい?」
「もう少しだよ」
「なんふん?」
「え……ご、5分ぐらい……?」
純粋な問いに狼狽えてしまう。
……何分とか、そんなのわかんねぇーよっ。
まだここに引っ越して来て日も浅いし。
でも、本当に嬉しそうな夏沙の笑顔。
本で喜ぶなんて相沢とおんなじだな。
相沢……
今なにしてるかな……?