叫びたいのは、大好きな君への想いだけ。
第8話『君からのありがとう』
蝉の声がちらほら聞こえて来る季節がやって来た。
じっとしているだけでじめじめとしたイヤな汗をかく。
夏休みまでもう1ヶ月もないんだけど、学生の俺たちの前には夏休み前の大きな壁が立ちはだかっていた。
「テストとか滅びろ!俺これ受験生の時毎日思ってた」
「ばぁーか。仁、ちゃんと勉強しろよ」
「してるじゃんかぁ〜」
期末テスト一週間前。
この学校の中で冷房がついているのは職員室と図書室ぐらい。
その涼しい図書室で俺たちは勉強をしているところなんだが……。
放課後になって仁が勉強教えてと言い出して今に至る。
「なんでそぉーなるの?優夜ちゃん」
『…………』
「ふむふむ。ほーほー。なるほどねっ」
鉛筆とノート、それからジェスチャーを匠に使いこなして数学を仁に教えているのはもちろん相沢。
……本当にわかってんのかよ。
つか、いいなぁ。
俺も相沢から勉強教わりてぇーよ。