僕へ。
「ほら優ちゃん!早く行くよ!」
放課後が来るのはあっという間だった。
体育館の前に行くと今朝のイケメン先輩が手を振っている。
「ゆーちゃーん!」
でかい声で人の名前を叫ぶな!
そう怒鳴りたかったけどさすがに先輩には言えない。
「遅くなってすみません!」
多分結構待たせてしまったと思ったあたしはとりあえず頭を下げて謝った。
でも顔をあげたら先輩は笑っていた。
「デートの待ち合わせじゃないんだから!」
そう言って大爆笑された。
「すみませーん」
ちょっと照れながら謝った。
そして周りを少し見渡したときすんごい視線で睨まれていることに気づいた。
睨んでいる人はきっと一生忘れることはない。
体験入部期間にもめた野球部マネージャーの先輩。
原田果歩先輩だった。
あたしは思わず固まってしまい動けなくなった。
そんな時
「さ!行こうか!」
そう言ってあたしの腕を掴んでくれた。
それだけで救われたのに
「あんなの気にすることないよ。悪いのはあっちなんだから。」
その言葉であたしはどれだけ強くなれただろう。
なんでもめたことを先輩が知ってたのかはわからないけど、この人の傍にいると安心してそんなことどうでもよくなっていた。
「ありがとうございます」
「野球の勉強たくさんしてたんだよね?」
「え?」
「俺、果歩と同じクラスで彼女と果歩仲良いからさ。優ちゃんのブログ見てた」
そもそも果歩さんたちともめた原因はあたしのブログだった。
それの何が悪かったのかいまだにわからないんだけど。
「そうですか。」
「あんなに部員のために思って頑張れる子ってあんまりいないんだよ?うちにもマネージャーはいる。俺とタメの奴は他の部と兼部しててあんまり部活来れないけど結構働いてくれる。でも1個下の奴は部活にでることも少ないし、来ても働かない。俺たちはマネージャー持ってても結局自分たちですることばっか。」
「それは大変ですね。」
「だからね。優ちゃんのブログ見て、この子なら助けてくれるかもって思った。でも嫌だったら無理にとは言わないからね?」
「はい。」
そして体育館に入った。
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