SトロベリージャM
「ピーピー、チュンチュンチュン・・。」


(ん~。もう朝・・?眠たい・・。)


実野里は目を瞑ったまま、布団を2つ折りにし、あくびをしながら起き上がった。


半開きの目のまま、床に足を付け、立ち上がろうとしたとき、ベットの傍に動物を発見した。


(あっ、アザラシ・・。)


床に転がった、愛くるしい雄のアザラシを、実野里は見下ろした。


そして、しゃがみ込んで、アザラシ君の頬っぺたをつんつん突いてみた。


「・・んだよ。」


(あ・・、喋った。けど、可愛くない声・・。)


アザラシとは思えない切れ長の目が、少しずつ開いていった。


「偽物・・?」


実野里がぼそっと呟くと、大地のこめかみがピクっと動いた。


「お前、やっぱ、俺のこと偽物だと思ってるだろ?」


「ち・・違う・・。本物のアザラシじゃない・・。」


夢想の世界を漂っているのか、意味不明なことを言いながら、嘆いていた。


「お前、寝ぼけてるのか?」


2人が寝付いたのは2時頃で、起きたのが5時だ。


規則正しい生活を繰り返す実野里は、そのリズムが体に焼きついていた。


本来ならば、寝付いて3時間後の今は、夢を見ている真っ最中の時間なのだ。


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