ゆるふわなキミ


「え?何?萌ちゃんが顔を近づけてくれるなんて……チューしていいの?」
「死ね。
……じゃなくて、顔赤いですよ?大丈夫ですか?」

ふと思い出したのは『お見舞い』『看病』という単語。

ゆるふわの顔がいつもよりも力無く笑っている。楽しいというより困った、って笑顔。

「やべ。バレた……?
実はカゼ引いちゃてさ。やっと治ったと思ったんだけどな……あはは」
「あははじゃないでしょ!!」

つい怒鳴ってしまった私にビックリしてるゆるふわ。そんなことはお構いなしにゆるふわの腕を掴んでズンズン歩き出す。

「風邪は治りかけが一番大事なんだから!帰って寝なきゃダメでしょ!?」
「え?あ、も、萌ちゃんどこへ??」
「あなたのお家に決まってるじゃないですか!!」
「え?でも……」
「そんな状態で遊ぶとかアリエナイんだからね!」
「いや違う。俺んち逆方向……」

ぴたっ――

「さっ、先に言いなさいよ!」


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