ゆるふわなキミ


「せっかく久々に会ったのに……」

布団を口のあたりまでかぶってブツブツ言うゆるふわをキッと睨んだ。
すると今度は聞き取れないくらいの声でブツブツ言い出したけど、やがて笑顔に変わり、

「まぁいっか。萌ちゃんに看病してもらえてるわけだし。
夢なんだよなー♪おでことおでこをくっつけて体温測ってもらうの♪」
「いっぺん死ね」

勢いで来てしまったゆるふわの家。
少しキョロキョロと部屋を見回してみる。
結構綺麗で、少年マンガとか雑誌とかが本棚にキチンと入っている。
机の上には参考書とか辞書とか。意外と勉強してるのか。意外と。
壁にはポスター。バンドかな?ロック?よくわかんない。
パソコンの近くにも参考書とか?意外すぎる。
ギターもある。弾けるのか。意外。

男の子の部屋ってみんなこんなカンジなのかな?
初めて入るからわかんないけど、もっとごちゃごちゃしてると思ってた……


……って……


あ……


「………………!!」


うわぁぁ……っ!!


急に体がこわばる。
そうだった。私、男の子の部屋って初めてだ……!!
勢いで来ちゃったけど、男の子の部屋に入っちゃった!しかも嫌いなゆるふわの!

「……萌ちゃん?どした?」

びくっ!

妙に緊張して、体が固まる。
どうしよう……何かわかんないけど泣きそう……!

「わ、私、そろそろ帰――」

言おうとして――


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