ゆるふわなキミ


「んでさーっ、俺思ったんだよっ。
そんなのヤベーって!ただのカニじゃねーよって!」
「あははは!何それ!」

ケーキも食べ終わり。
ゆるふわが話すくだらない話を聞いていた。
ゆるふわって話術もあって、話が面白い。寝ながらだけど手振りもついてわかり易いし。

「そういえば、萌ちゃんぶうさぎ好きって言ってたよね?知ってる?映画化するらしいぜ?」
「ええっ!?ホント!?」
「マジマジ。3D映画だってさー」
「うそー!見たい!」
「じゃあ、公開したら見に行こうぜ!」
「うん!…………うん?」

ふと感じる違和感。

「何でゆるふわ――」
「タクミ、ね」
「あ な た と 行かなきゃいけないの?」

……話してたらすっかり忘れてた。
ここはゆるふわの部屋で話してるのはゆるふわだった!

いや、私何してるんだろう……?

「帰ります」

すくっと立ち上がり、部屋を出ようとして……

「ってちょっと!何してるのよ!」

ベッドから起き上がろうとするゆるふわに近づき、無理やりまた寝かせる。
多少抵抗したけど、大人しく寝るゆるふわ。
けど、私の手を掴んで離そうとしない。

「離してくださいっ……!」
「離したらもう会えないだろ?」

今にも泣きそうな顔でゆるふわは言う。
真っ直ぐに私を見つめて。

「萌ちゃんは俺のこと嫌いだし。もう会ってくれないかもだし。
だから……離したくない」
「勝手なことを……きゃっ!」


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