ゆるふわなキミ
しおしお
『今日現国の小テストあった!マジ点数ヤベー!』
――ちゃんと勉強しろ、と。
『一番好きな授業は体育!やっぱ人間身体動かさなきゃダメっしょ!』
――知らん、と。
『萌ちゃん!今日も愛してる!ラブ!!』
――ウザイ、と。
私は無表情のまま、件名も『Re:』のままで返信し、ケータイを閉じた。
「すごいねー。休み時間の度にメールが届くんだ」
ユカが呆れた顔をして言う。
逃げない宣言をしたあの日――
その証としてゆるふわとメアドを交換した。
今思えばただゆるふわの口車に乗せられただけだとわかり、後悔中。
メールの量にも後悔中。
「しかし……萌も律儀だよねー。ちゃんとメール返信するなんて。
あたしなら無視するなー」
「無視って……せっかくメールくれてるのに、失礼じゃない?」
「萌……あんたって子は……ご褒美にポッキーあげちゃう!」
「わぁーい!」
ユカが差し出してくれたポッキーを口で咥える。
あ、ポッキーおいしい♪
「ホント!萌は見た目も中身もかわいすぎ!
何かあったら言うんだよ!絶対守るからね!!萌大好き!」
「きゃーっ☆」
ぶぶぶぶ……
『次の授業は実験!アルコールランプが俺を待ってるぜ!』
――そのまま燃え尽きてしまえ、と。