ゆるふわなキミ
確かにゆるふわはモテる。
こうしてちょっとシェイクを買いに行ってる間にも声をかけられている。
こんな短時間でしかも何回も声かけられるってスゴイ。
でもだったら。
私なんかに構わないで可愛い子と付き合えばいいのにって思う。
――やきもち?
違うわアホ!!
って、何でゆるふわの声が聞こえたんだか……
と、とにかくっ。
こんなに冷たく接してるんだからもう嫌になってもいいはずなのに、何でそれでも私と一緒に居ようとするんだかってこと。
……ゆるふわはもう知ってるはずなのに。
私は、別に可愛くなんかないってこと……
シェイクを買うゆるふわを少し遠くから見つめる。
あ、さっきとは違う女性達に絡まれてる。しかもなんかもらってる。
すごい綺麗なお姉さん達だぁ……
ゆるふわもすごい笑顔。愛想いいからなアイツ。中身は黒いけど。
はぁ……
ため息をついた……
「どしたの萌ちゃん?疲れた?」
横でシェイクを飲みながら歩くゆるふわが私の顔を覗き込む。
「別に」
ぷい、とそっぽを向く。
……ちら、とゆるふわの方を見るとなぜかニコニコしてる。
「……何で笑顔なのよ……」
「いやぁ、可愛いなーって思って♪」
む、ムカツク……
「ねぇ、ゆるふわはさ……」
「タクミね♪」
「あ な た は さっ。どうして私と一緒に居たいの?」
「好きだから」
「ちがっ……!真面目に聞いてよ!
……世の中。可愛い子ならいくらでもいるでしょ?
なんてゆーか……こんなに冷たくしてる私じゃなくてもいっぱい、その、えと、す、好きになってくれる子がいっぱいいるわけじゃない?」
「うん?」
「だから、どうして私を一緒に居ようとするの?」
「だからー、好きだからだってば♪」
ムカッ。
真剣に聞いているのにへらへら笑いながら言うゆるふわを見て、頭に血が登る。
「真面目に聞いてよ!」
足を止めて思わず大声で言ってしまった。
ゆるふわはびっくりして私を見た。けど、そのあと。
真剣な顔になって私を見た。
「真面目に聞いてるよ。だから、真面目に答えてる。
萌ちゃんが好き。だから一緒にいたいんだよ」